ソーシャルログインサービスの選び方|比較で確認すべき8つの項目
ソーシャルログインサービスは、対応SNSの数や月額料金だけでは選べません。導入後に困るのは、既存会員との紐づけ、LINEの申請、乗り換えにくさといった、比較表に載りにくい項目です。本記事では選定時に確認すべき8項目を、そのまま問い合わせで使える質問の形で示します。
結論:「対応SNSの数」より「会員基盤とのつなぎ方」で選ぶ
ソーシャルログインサービスは、対応しているSNSの数では大きな差が出ません。導入後に差が出るのは、比較表に載りにくい次の3点です。
- 既存の会員IDとどう紐づけるか……同じ人が複数の会員IDを作らないか
- 申請が絡む機能をどこまで支援するか……LINEの友だち追加など
- やめるときに移行できるか……既存会員が次回もログインできるか
選ぶ順序は「方式を決める → 8つの項目で比べる → 総コストで判断する」です。
まず方式を決める:内製・IDaaS・専用サービス

方式 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
内製 | 対応するSNSが1〜2つ。認証に詳しいエンジニアが社内にいる | SNS側の仕様変更への追随が続く |
IDaaS(汎用の認証基盤) | 社員向けのSSOも含め、認証全体をまとめたい | 国内SNSは製品によって個別の接続設定が必要。機能ごとにプランが分かれることがある |
ソーシャルログイン専用サービス | 会員登録・ログインでの離脱を減らしたいBtoC・EC・メディア | 自社サイト側の実装は必要 |
費用の比べ方はソーシャルログインの導入費用で詳しく解説しています。以下は専用サービスを比べるときの項目ですが、IDaaSを比べる場合にもほぼそのまま使えます。
比較で確認すべき8つの項目

右の列は、そのまま問い合わせで使える質問です。
項目 | 問い合わせで聞くこと |
|---|---|
1. 対応SNS | LINE・Yahoo! JAPANを含むか。後からSNSを追加するとき、実装は必要か |
2. パスキー | パスキー(FIDO2 / WebAuthn)に対応しているか。ソーシャルログインと同じ実装で使えるか |
3. 既存会員との紐づけ | 1人の会員に複数のSNSを紐づけられるか。自社の会員IDとどう対応づけるか |
4. LINE連携 | ログインと同時に友だち追加ができるか。必要な申請を支援してもらえるか |
5. データの扱い | 取得した個人データをサービス側に残すか。残す期間と保存場所 |
6. 料金体系 | 課金の単位(アクティブ数か累積数か)、初期費用、最低契約期間 |
7. 導入支援 | SNSごとの申請手順書、サンプルコード、日本語での問い合わせ窓口 |
8. 移行 | 他社から移るときの手段。解約するときに受け取れるデータ |
1. 対応SNS:数より「必要な2〜4つ」があるか
6つすべてを載せる必要はありません。選択肢が多いと、利用者は前回どれで登録したかを忘れます(6サービスの比較と組み合わせ方)。
確認すべきは、自社の利用者が持っているSNSが含まれているかと、後からSNSを追加するときに実装が要るかです。
2. パスキー:同じ実装で併用できるか
パスキーはパスワードを置き換える方式で、ソーシャルログインと競合しません(パスキーとソーシャルログインの違い)。別々のサービスで導入すると、ログインの仕組みと会員の紐づけが2系統になり、保守の手間が倍になります。
3. 既存会員との紐づけ:もっとも差が出る
既に会員がいるサイトでは、ここがもっとも重要です。
- 同じ人がGoogleとLINEで別々に登録すると、会員IDが2つできる
- メールアドレスが一致しただけで自動的に統合すると、他人の会員情報にログインされる恐れがある
- 会員の識別には、メールアドレスではなくSNSが発行する固有のIDを使う
サービスがSNSのIDと自社の会員IDをどう対応づける設計かを、契約前に確認してください。SNSごとに取得できる情報の違いはソーシャルログインで取得できる情報にまとめています。
4. LINE連携:申請まで支援されるか
LINEログインでは、ログインと同時にLINE公式アカウントの友だち追加を案内できます。ただし、友だち追加の選択肢を最初からオンにして表示するには、LINE公式アカウントの認定代理店を通じた申請が必要です。
機能に対応していても、申請は自社で行う前提のサービスもあります。どこまで支援されるかを確認してください(LINEログインの自動友だち追加)。
5. データの扱い:仲介したデータをどこに残すか
ソーシャルログインサービスは、SNSから受け取った氏名やメールアドレスを仲介します。サービス側にデータが残る期間と場所は、社内のセキュリティ審査で必ず聞かれる項目です。
取得した情報を何に使うかはプライバシーポリシーに記載が必要になるため、設計の段階で自社の法務・管理部門に確認してください。
6. 料金体系:課金の単位をそろえて比べる
月間のアクティブユーザー数で課金するサービスと、連携した利用者の累積数で課金するサービスがあります。単位が違うと、月額を並べても比較になりません。自社の会員数の推移をもとに、1〜3年分の総額で比べてください。
7. 導入支援:時間がかかるのは実装より申請
導入期間の多くは、各SNSへの申請と設定に使われます(ソーシャルログインの導入手順と期間)。SNSの管理画面や審査の基準は変わるため、最新の申請手順書があるかで社内の調査時間が大きく変わります。
8. 移行:やめるときのことを先に聞く
SNSが発行する利用者のIDは、連携に使うアプリ(チャネル)ごとに異なる場合があります。移行の設計を誤ると、既存会員が次回ログインできなくなります。
他社から移るときの手段と、解約するときに受け取れるデータを、契約前に確認してください(ソーシャルログインの乗り換え手順)。
事業形態別:重視する項目
事業形態 | 重視する項目 | 理由 |
|---|---|---|
EC | 3. 紐づけ・4. LINE連携・6. 料金体系 | 購入履歴やポイントを1人の会員にまとめる。LINEで再訪を促す |
求人・予約などのメディア | 1. 対応SNS・3. 紐づけ・7. 導入支援 | 応募や予約の直前の入力を減らす。利用者層に合うSNSを選ぶ |
BtoB SaaS | 1. 対応SNS・2. パスキー・5. データの扱い | 業務用のGoogleアカウントとパスキーが中心。導入先のセキュリティ審査に答える |
スマホアプリ | 1. 対応SNS・2. パスキー・8. 移行 | iOSではAppleでサインインの検討が必要。機種変更時の引き継ぎ |
ECでの効果の出方はECサイトのソーシャルログイン導入で解説しています。
選定で起きやすい失敗
- 月額だけで選んだ……自社サイト側の実装費と、保守の工数を含めていなかった
- LINEの申請を後回しにした……公開日に友だち追加が使えなかった
- SNSを全部並べた……同じ人が複数の会員IDを作り、購入履歴が分散した
- 移行の条件を確認しなかった……乗り換えたくても、既存会員を移せなかった
選定のチェックリスト
- 自社の利用者が使うSNSを2〜4つ決めた
- 既存会員との紐づけ方を決めた(または紐づけの設計をサービスに確認した)
- LINEの友だち追加を使うか決め、申請の支援範囲を確認した
- パスキーを併用するか決めた
- データの保持期間と保存場所を確認した
- 課金の単位をそろえ、1〜3年分の総額で比べた
- 申請手順書・サンプルコード・問い合わせ窓口を確認した
- 他社からの移行と、解約時の扱いを確認した
よくある質問
ソーシャルログインサービスはどれがいいですか?
自社の利用者と既存会員の有無で変わります。既存会員がいるなら紐づけの設計、LINE公式アカウントを運用しているなら友だち追加の支援、パスワード管理の負担を減らしたいならパスキーへの対応を重視してください。
シングルサインオン(SSO)との違いは何ですか?
シングルサインオンは、1回の認証で複数のシステムを使えるようにする仕組みで、主に社内のシステムや自社グループのサービス間で使われます。ソーシャルログインは、SNSのアカウントを使って外部のサイトに登録・ログインする仕組みです。どちらもOAuthやOpenID Connectといった共通の規格を使うことが多く、技術的には近い関係にあります。
IDaaSとソーシャルログインサービスは何が違いますか?
IDaaSは、社員のシングルサインオンや多要素認証、権限管理など、認証全体を扱う汎用の基盤です。ソーシャルログインサービスは、一般の利用者の会員登録とログインに絞っています。国内SNSへの対応や、LINEの友だち追加のような国内向けの機能で差が出ます。
比較サイトの情報だけで選べますか?
対応SNSや料金の目安を知るには役立ちます。ただし、既存会員との紐づけや移行の条件は載っていないことが多いため、8つの項目は問い合わせで確認してください。
Login Plus について

8つの項目について、Login Plusの対応は次のとおりです。
項目 | Login Plus |
|---|---|
1. 対応SNS | Apple・Facebook・Google・X(旧Twitter)・Yahoo! JAPAN・LINE。それ以外はカスタマイズで対応(有料オプション) |
2. パスキー | 対応(FIDO2 / WebAuthn)。ソーシャルログインと同じ1つの実装で提供 |
3. 既存会員との紐づけ | 1人の会員に複数のSNSアカウントを紐づけ可能 |
4. LINE連携 | 自動友だち追加に対応(LINE公式アカウントの認定代理店を通じた申請が別途必要) |
5. データの扱い | Login Plusが仲介した個人データは、取得から1時間で自動削除 |
6. 料金体系 | 利用ユーザー数(累積)に応じた段階制。月額30,000円〜、初期費用50,000円(税抜) |
7. 導入支援 | 各SNSの申請手順書を無償で提供。実装手順書とサンプルコードあり |
8. 移行 | 他社サービスからは、CSVまたはBulkAPIでIDを一括発行して移行。解約時にはデータをお渡しできます |
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