パスキーとは?ソーシャルログインとの違いと、併用が前提になる理由
パスキーとソーシャルログインは競合しません。パスキーはパスワードを置き換える認証方式、ソーシャルログインは他社のIDを借りる仕組みで、役割が違います。本記事では両者の違いを整理し、併用が前提になる理由と、導入の3ステップを解説します。
結論:どちらかを選ぶものではない
「パスキーとソーシャルログイン、どちらを入れるべきか」という問いを受けることがあります。この問いの立て方自体が実態と合っていません。 両者は役割が違い、併用できます。
- パスキー……自社サービスのアカウントに対して、パスワードの代わりに端末の生体認証やPINで本人確認する
- ソーシャルログイン……他社(Google・LINEなど)が持つIDを借りて本人確認する
パスキーは「パスワードの置き換え」、ソーシャルログインは「アカウント発行そのものの省略」です。解決している問題が違います。
パスキーの仕組み

パスキーは FIDO2 / WebAuthn という規格にもとづく認証方式です。公開鍵暗号を使い、秘密鍵は利用者の端末から出ません。
ログインの流れは次のとおりです。
- サービスが端末に「この文字列に署名してください」と要求する
- 端末が生体認証やPINで本人確認し、秘密鍵で署名する
- サービスは、あらかじめ登録された公開鍵で署名を検証する
ここから2つの性質が生まれます。
1. 漏えいするパスワードが存在しない
サービス側が保管するのは公開鍵だけです。漏えいしても、それだけではログインできません。 パスワードを保管しないため、リスト型攻撃の対象にもなりません。
2. フィッシングに強い
パスキーは登録したドメインとしか動作しません。偽サイトを開いても認証が始まらないため、「利用者が騙される」という経路そのものが塞がれます。パスワードでは防ぎきれなかった部分です。
ソーシャルログインとの比較

パスキー | ソーシャルログイン | |
|---|---|---|
本人確認の主体 | 自社サービス | SNS事業者 |
ユーザーの準備 | 初回に端末で登録 | SNSアカウントがあればすぐ |
端末をまたぐとき | 同期の設定や再登録が要る | どの端末からでも入れる |
取得できる情報 | なし(認証のみ) | 氏名・メールアドレスなど |
外部への依存 | なし | SNS側の仕様変更を受ける |
表のとおり、弱点が互いに逆です。パスキーは端末に紐づくため機種変更に弱く、ソーシャルログインは外部の仕様変更に影響されます。両方を並べれば、片方の弱点をもう片方が埋めます。
導入の3ステップ
Step 1:どこに置くかを決める
いきなり全ユーザーに強制しません。まず「追加の選択肢」として置きます。
- 既存の会員には、ログイン後に「次回から生体認証で入れます」と案内する
- 新規登録では、ソーシャルログインと並べて提示する
Step 2:入れない人の導線を残す
ここが実装でもっとも重要です。パスキーに対応していない端末やブラウザは存在します。 また、共用端末では登録したくないという利用者もいます。
パスキーだけにすると、その層を丸ごと失います。 ソーシャルログインかメールアドレスによるログインを必ず残してください。
Step 3:機種変更に備える
パスキーは端末に紐づきます。OSの同期機能である程度は引き継げますが、異なるOS間の移行や、同期を使っていない場合は再登録が必要です。
「機種変更したらログインできなくなった」は、サポートへの問い合わせとして必ず発生します。再登録の導線を先に用意してください。
どちらから着手すべきか
現時点で会員登録の離脱が課題なら、ソーシャルログインが先です。登録の手間そのものを減らせるため、効果が出るまでが早くなります。
すでに会員が多く、パスワード忘れの問い合わせや不正ログインが課題であれば、パスキーの効果が大きくなります。
いずれにせよ、最終的には両方を並べる形に落ち着きます。順序の問題です。
よくある質問
パスキーを入れたらパスワードは廃止できますか?
すぐには難しいと考えてください。非対応の端末や、登録を望まない利用者が残ります。移行期間として、代替の手段を並行して残すのが現実的です。
複数の端末で使えますか?
OSの同期機能を使えば、同じOS間では引き継げます。異なるOSをまたぐ場合は、端末ごとに登録する形になります。
ソーシャルログインと両方入れると、ユーザーが混乱しませんか?
並べ方次第です。普段使っている方を上に置き、もう一方は「他の方法でログイン」の中にまとめると、迷いにくくなります。すべてを同列に並べると選べなくなります。
Login Plus について
Login Plusは、6つのIDプロバイダ(Apple・Facebook・Google・X・Yahoo! JAPAN・LINE)とパスキーに、1つの実装で対応できるサービスです。
- パスキーとソーシャルログインを同じ仕組みの上で扱える
- どちらで登録した利用者も、同じ会員IDに紐づけられる
- 各プロバイダの仕様変更にはLogin Plus側で対応
「先にソーシャルログインを入れ、後からパスキーを足す」という進め方でも、追加の実装は不要です。
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